八島正明 [Yashima Masaaki] 油彩展

2022年5月14日(土)~5月22日(日)

11:00から18:00

【モノクローム】

キャンバスに白い油絵具で地塗りをし、完全に乾燥した後、黒い油絵具を重塗りします。

手につかない程度に乾いたら、木綿針で画面を引っ掻き白くしたい部分を丁寧に削っていくと黒一色の世界に背景となる白い風景が現れ、繊細な光の筋には独特のモノクロームの静寂が広がります。
 制作に木綿針を使うのは、幼いころ母親が和裁の仕事をしており、針が家の中に沢山あった事から思いつき、木綿針で引っ掻く線描技法で描く様になりました。
 モノクロームの世界を描き始めた当初は、あまり人物を描くことはしませんでした。
 あるとき、母親の後ろ姿が写った写真を目にしたときに、「人の後ろ姿も結局は影である。」と気づきました。作品の題材となる「人物の後ろ姿」も「描かれた花」も「鏡文字」も、すべてに「影」が存在するのです。まさしく、「影」そのものです。

『私景(鏡の中の少女)』