吉田賢治 -Yoshida Kenji-

銅版画展

2023年9月9日(土)から9月17日(日)

11時から18時まで(最終日17時まで)

数多くの絵を見ているわけではないから独善だが、いい絵との出会いには2種類あって、瞬時に魅了される場合と、もう1つは時間をかけて良さがわかってくる絵もある。
銅版画家吉田賢治の新作「Mother Mary」はその両方をそなえて私を虜にする。
両親と妻を短期間に次々に亡くすという愛する者の喪失が必然的に制作に駆り立てる。
画面の大半を占める黒は海女を生業にしていた妻のゴムスーツであろう。
よく見ると白い傷跡がエコーの影像に映りこむ。胸のあたりに空いたハート形の中には蓮の実の殻があり、画面上部の葉肉を落とした植物の揺れと連動する。
祈りの世界は、微かだが再生への動きを孕んで胸をうつのだ。
         
                                                   画家 八島正明

Mother marry
My Gooddess 1